古民家で迎える、グローバルおじいちゃん。 余韻ラジオ
Xで世界中に1万人超えのフォロワーを持つ、男木島の名物おじいちゃん。お昼ごはんを食べ逃した、船の最終便に乗りそびれた…困っている旅人を放っておけず、古民家で迎え続けるうちに、その人柄に惚れて多くの人が集うようになりました。おもてなしに込められた島への想いや、生まれ育った男木島の魅力を教えてもらいました。お話に登場したスポットは、しまれびマップからご覧いただけます。
-
島暮らしのアナウンサー
まな
島暮らしのアナウンサー
まな
横浜出身。学生時代に訪れた瀬戸内国際芸術祭をきっかけに島に惚れこみ香川に移住・瀬戸内海放送に入社し、島のアート・伝統文化・生活など幅広く取材。2024年春から念願のプチ島暮らしを開始。
-
島に住んでいた絵描き
ひな
島に住んでいた絵描き
ひな
大阪出身。美術を学んでいた大学時代、現代アートを学びたいと直島と男木島に移住。瀬戸内の島が好きすぎて、瀬戸内で働きたいという思いから入社。しまれびのロゴやイメージカラーなどのデザインから、島のいいところを表現するイラストまで幅広く制作。
-
男木島在住
豊爺さん
男木島在住
豊爺さん
男木島生まれ男木島育ち。Xで世界中に1万人超えのフォロワーを持つ、島の名物おじいちゃん。古民家休憩所「ねこポケハウス」で観光客をおもてなししていて、そのあたたかな人柄に惹かれて世界各地から多くの人が訪れ島時間や交流を楽しんでいる。 インタビューはこちら
なぜか世界中の人を引き寄せる、島の古民家とおじいさん。そこにあるのはゆったりとした島時間。

「男木島出身で、働き始めてからはずっと高松で暮らしていたけど、定年を機に戻ってきたんだ。ここは実家で、もう十数年空き家だったんだけど、ここで観光客をおもてなしできたらと思って開放したんだよ」
男木港から徒歩5分ほどの場所にある“ねこポケハウス”。その管理者である豊爺(とよじい)に会うため、世界中からたくさんの人が訪れます。
「島には猫がたくさんいるから、最初は猫好きの観光客をおもてなししていたんだ。自由に入ってもらって、庭にいる猫と遊んだりね。そうしているうちに、男木島がゲームの“サマポケ”の聖地だと知って、聖地巡礼でやってくる人たちもお接待していたら、徐々にたくさん人が来るようになったんだ」

数年前、まだ今ほど島に飲食店がなかったころ。豊爺は食事をする場所がなくて困っている人にうどんなどをふるまっておもてなししていました。実は、しまれびメンバーのひなさんも、そうやって豊爺と出会った一人です。
「ちょうどコロナのときで飲食店が全部休業していて、それを知らずに島に来てしまったんです。困っていたら豊爺が『そうめん食べる?』と声をかけてくれて、ちゃっかりいただきました。それが豊爺との出会いです。豊爺はそれが日常だから忘れていると思うけど、そのおもてなしを受けた私はすごく印象に残っています。『あのときのおそうめん、おいしかったな』とか『あのおじいさんにまた会いたいな』と思っている人は世界中にたくさんいると思います」
ねこポケハウスにはノートがあり、ここを訪れた人たちのメッセージがたくさん書き込まれています。日本人はもちろん、中国や韓国、台湾、イギリス、ドイツ、オーストラリア…世界各地からこの男木島の古民家に人々が集まっています。
「世界中からたくさんの人が来てくれて、ここで偶然出会った旅行者同士が楽しそうに話している光景もよく見かけます。もちろん観光で来る人もいるけど、ちょっと心が疲れてしまって、それでなんとなく島に来たっていう人もいるんですよね。そういう人もここに来て、見ず知らずの人と話をすることで、ちょっと心が軽くなることもあるみたいですね」

「せっかく島に来たなら、バタバタと観光するだけじゃなくて、ゆったりした島時間を楽しんでほしい。それが男木島の活性化にもつながると思う」と話す豊爺に、男木島のおすすめスポットを聞きました。
「やっぱり男木島灯台かな。あそこは静かで景色もきれいだからのんびりできると思うよ。サマポケの聖地にもなっているし、灯台自体も日本に二つしかない無塗装の石造り灯台っていうめずらしいものだしね。それに目の前の海を結構大きな船が通るから、船好きの人もよく来ているね。いろんな人が楽しめる場所だと思うよ。あの灯台のところから、夕日が落ちていくのをゆっくり見るのもおすすめだよ」

夕日がきれいに見える島としても知られている男木島。でも、朝日もきれいだと豊爺は言います。
「朝日を見るなら、島の東側の海岸沿いの道。ゆっくり朝日が昇ってきて、目の前にはきれいな屋島、そして波止(はと)の先には瀬戸芸の作品『歩く方舟』。男木島ならではの景色だよね。こういう、島でしか味わえない時間をゆっくりと楽しんでほしい。その拠点としてねこポケハウスを使ってもらえたらうれしいね」